事例紹介

こんなお悩みありませんか?
「先日、初めてマンションを競売で買ったんです。そしたら、前の持ち主が払っていなかった管理費が結構な金額になっていることが分かって…。管理組合からは『新しい持ち主であるあなたが払ってください』って言われたんですけど、なんだか納得いかなくて。前の人に請求できないんでしょうか。」
今回、当事務所にご相談にいらしたAさんも、まさにこのようなお悩みを抱えていました。競売でマンションを手に入れたものの、前の持ち主Bさんが長年管理費を滞納していたため、Aさんが管理組合からその支払いを求められたのです。Aさんは、言われた通り管理組合に40万円の管理費を支払いましたが、「やっぱり、このお金は前の持ち主のBさんに請求したい」と考え、当事務所にご相談くださいました。
今回のポイントは?
今回のケースで重要なのは、競売でマンションを買った人(Aさん)が、前の持ち主(Bさん)の滞納していた管理費を代わりに支払った場合、そのお金をBさんに請求できるのか、ということです。法律では、競売で不動産を手に入れた人は、前の持ち主の権利だけでなく、義務も一部引き継ぐことになっています(これを「特定承継」といいます)。そのため、滞納していた管理費も、新しい持ち主が支払う必要がある場合があるのです。
しかしながら、今回のケースでは、東京高等裁判所の過去の裁判例で、「競売でマンションを買った人が支払った滞納管理費は、最終的には元の持ち主が負担すべき」という判断が出ているのです。つまり、新しい持ち主は、立て替えて支払った管理費を元の持ち主に請求できる可能性がある、ということです。
司法書士は何をしたの?
- 詳しくお話を聞きました: まずはAさんから、競売でマンションを取得した経緯や、管理費の滞納状況などについて詳しくお話を伺いました。
- 法律と裁判例をご説明: 今回のケースに適用される法律(建物の区分所有等に関する法律)や、過去の裁判例(東京高等裁判所の判決)について、Aさんに分かりやすくご説明しました。
- 内容証明郵便で請求: まず、Bさんに対して滞納していた管理費40万円を支払うよう求める内容証明郵便を送りました。
- 裁判を起こしました: 内容証明郵便を送ってもBさんから連絡がなかったため、Aさんの代理人として、Bさんに対して裁判所に支払いを求める訴訟を起こしました。
- 裁判での話し合い(和解): 裁判が進む中で、BさんとAさんの間で話し合いが行われました。その結果、BさんがAさんに対して滞納していた管理費35万円を支払うという内容で和解が成立しました。
解決
Aさんは、当事務所のサポートによって、ご自身が支払ったBさんの滞納管理費の一部35万円を、裁判での話し合い(和解)によって取り戻すことができました。
担当司法書士からのメッセージ
競売で不動産を取得された後、前の持ち主の滞納していた管理費などで困ってしまう方は少なくありません。今回のケースのように、法律や過去の裁判例を知っていれば、裁判で争うだけでなく、話し合いによって解決できることもあります。もし、同じようなお悩みを抱えている方がいらっしゃいましたら、まずは専門家である司法書士にご相談ください。きっとお力になれるはずです。
※この事例は、あくまで過去の一つのケースです。同じような状況でも、事案によって結果が異なる場合があります。