事例紹介

1.はじめに
近年、スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、オンラインゲームを手軽に楽しめるようになりました。しかしその一方で、未成年者が保護者の知らないうちに高額な課金をしてしまうトラブルも増加しており、社会問題となっています。
民法では、未成年者が親権者である法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、原則として取り消すことができます(未成年者取消権)。この制度は、未成年者を保護するためのものですが、オンラインゲームの課金トラブルにおいても、この取消権を行使することで、返金が認められる場合があります。
本稿では、当事務所が実際に取り扱った、未成年者のオンラインゲーム高額課金に関する返金請求事例をご紹介します。
2.相談内容
今回ご相談にいらっしゃったのは、都内にお住まいのAさんです。Aさんの息子であるB君が、スマートフォン向けオンラインゲームに夢中になり、親に無断で多額の課金をしてしまったとのことでした。
AさんがB君のスマートフォンの利用明細を確認したところ、数ヶ月の間に数十万円もの課金が行われていることが判明しました。Aさんはゲーム会社に返金を求めたものの、「利用規約に同意している」「未成年者による課金とは認められない」などと言われ、対応してもらえなかったそうです。
そこでAさんは、インターネットで当事務所のことを知り、ご相談にいらっしゃいました。
3.対応と結果
当事務所は、Aさんからご依頼を受け、B君の課金状況の詳細な調査を行いました。その結果、B君が未成年者であり、親権者であるAさんの同意なく課金を行っていたことが明らかになりました。
そこで、当事務所は、民法第5条2項に基づく未成年者取消権を行使し、ゲーム会社に対して課金契約の取消と返金を求める通知書を送付しました。
通知書では、B君が未成年者であること、Aさんが課金について同意していないこと、関連する法律の条文などを具体的に記載し、法的根拠に基づいた主張を展開しました。
その後、ゲーム会社との間で数回の交渉を行いましたが、当初は「返金には応じられない」との回答でした。しかし、当事務所が粘り強く交渉を続けた結果、最終的に、B君が課金した金額の全額がAさんに返金されることで合意に至りました。
4.解決のポイント
今回の事例では、以下の点が解決のポイントとなりました。
- 未成年者取消権の適切な行使: 未成年者取消権は、未成年者を保護するための重要な制度です。本件では、通知書において、関連する法律の条文を示すことで、ゲーム会社に対して取消の意思を明確に伝えました。
- 専門家による交渉: 当事務所が代理人としてゲーム会社と交渉することで、法的知識や交渉力に基づいた主張を行うことができ、相手方との交渉を円滑に進めることができました。
- 諦めずに交渉を継続すること: 当初、ゲーム会社は返金に応じようとしませんでしたが、当事務所が粘り強く交渉を続けたことで、最終的に全額返金という結果を得ることができました。
5.おわりに
オンラインゲームにおける未成年者の高額課金問題は、多くのご家庭で起こりうる問題です。もし、お子様がオンラインゲームで多額の課金をしてしまい、お困りの場合は、一人で悩まずに、専門家にご相談ください。
当事務所では、法的知識と豊富な経験に基づき、皆様の問題解決をサポートいたします。