この記事の結論(先に要点)
- 訴訟費用の払い方が、収入印紙・郵便切手から「ペイジー(電子納付)」に変わった。
- 手数料と郵便費用が一本化され、オンラインで訴えを起こすと従来より約1,100円安くなる。
- ただし、裁判所に納める費用そのものはゼロにならない。だからこそ、動く前に「回収の見通し」を立てることが大切。
「裁判を起こすと、いくらかかるの?」。これは、債権回収を考える方がいちばん気になる点かもしれません。せっかく回収できても、費用のほうが高くついてしまっては意味がない――いわゆる「費用倒れ」の不安です。
令和8年(2026年)5月の民事裁判IT化では、この裁判費用の払い方も大きく変わりました。今回は、お金まわりの変化をわかりやすくご説明します。
これまでの払い方──収入印紙と郵便切手
裁判を起こすには、「手数料」を裁判所に納める必要があります。これまでは、その手数料を収入印紙で納め、さらに書類を郵送するための費用を郵便切手で別に預けておく、という方法が一般的でした。
「印紙をいくら分買えばいいのか」「切手はいくら分必要なのか」と、慣れない方には分かりにくい仕組みでした。
これからの払い方──ペイジーで電子納付
IT化後は、これが大きく整理されました。
① 手数料と郵便費用が「ひとつ」にまとまった
これまで別々だった手数料と郵便費用相当額が一本化されました。切手を別に用意する手間がなくなります。
② 支払いは「ペイジー」で
納め方も、原則としてペイジー(Pay-easy)による電子納付に変わりました。インターネットバンキングや銀行のATMから支払える仕組みです。収入印紙での納付は、原則としてできなくなりました。
③ オンラインで起こすと、少し安くなる
ここはぜひ知っておいてください。オンラインで訴えを起こす場合、紙で起こす場合に比べて、手数料が約1,100円安くなります。郵便にかかる負担が軽くなるためです。金額としては大きくありませんが、「オンラインのほうがおトク」になる場面が出てきたわけです。
それでも「別にかかるお金」はある
ここで正直にお伝えしておきたいことがあります。
IT化で払い方は便利になりましたが、裁判所に納める手数料そのものがゼロになるわけではありません。請求する金額に応じて、相応の手数料はかかります。
専門家に依頼する場合も、こうした裁判所に納める実費は、依頼料とは別にご本人の負担となるのが一般的です。当事務所のサービスでも、訴訟提起や強制執行の際の印紙代・予納郵券(切手)代などは、料金とは別にかかるものとしてご案内しています。「あとから想定外の出費が……」とならないよう、最初にきちんとお伝えする方針です。
「費用倒れ」が不安なら、先に“見通し”を
とはいえ、「結局いくらかかって、いくら戻ってきそうなのか」が分からないと、一歩を踏み出せませんよね。
そこで当事務所では、本格的に動き出す前に、「そもそも戦う意味があるか」を先に見極める診断をご用意しています。お手元のLINEのやりとりや契約書などの証拠をもとに、AIで事実関係や争点を整理し、司法書士が回収の見込みや想定される反論を客観的に診断します。
「勝てそうか」「費用をかける価値がありそうか」を、少額で先に確認できる仕組みです。いきなり裁判の費用を投じる前に、判断材料を手に入れておく――費用倒れを避けるための、現実的な第一歩としてご活用いただけます。
💡 関連サービス:債権回収 AI見通し診断・相談サービス/債権回収・金銭トラブルのご相談
まとめ──払い方は便利に、判断は慎重に
裁判費用の払い方は、収入印紙・郵便切手からペイジー電子納付へと整理され、オンライン提訴なら少し安くなる場面も出てきました。ただし、かかる費用そのものがなくなったわけではありません。
だからこそ、動き出す前に「見通し」を立てることが、これまで以上に大切になります。「自分のケースだとどうだろう」と思われたら、まずはお気軽にご相談ください。
次回は、「IT化についていけるか不安」という方のために用意された“本人サポート”という制度について、詳しくご紹介します。
よくある質問(FAQ)
Q. 裁判費用はペイジーでしか払えないのですか?
A. 原則としてペイジーによる電子納付に統一されました。収入印紙での納付は原則できません。ただし、システム障害などやむを得ない事情がある場合など、例外的に収入印紙が認められる場面もあります。
Q. オンラインで訴えを起こすと、どのくらい安くなりますか?
A. 郵便費用の負担が軽くなる分、書面で起こす場合に比べて手数料が約1,100円安くなります。
Q. 専門家に頼めば、裁判所に納めるお金はかからなくなりますか?
A. いいえ。裁判所に納める手数料や郵券などの実費は、依頼料とは別に、ご本人の負担となるのが一般的です。
Q. 費用倒れにならないか不安です。
A. 動き出す前に、回収の見込みを診断するサービスのご利用がおすすめです。証拠をもとに司法書士が客観的に見通しを立て、「戦う意味があるか」を先に確認できます。
📎 公的情報もあわせてご確認ください
- 裁判所「民事裁判手続のデジタル化」
- 裁判所「改正民訴法等で変わる民事訴訟手続の概要」(手数料額早見表を含む)
🔗 シリーズ記事
- 民事裁判のIT化で何が変わった?
- 本人訴訟とIT化、できること・できないこと
- 裁判費用の変化──印紙・切手から電子納付へ(本記事)
- 「IT化についていけない」人のための本人サポート制度
- 「140万円」を境に何が違う? 簡裁の代理と地裁の本人訴訟支援
【監修】司法書士法人 飯田綜合法務事務所
司法書士 高田 和征(簡裁訴訟代理等関係業務認定番号 第701136号)
※認定司法書士は、法務大臣の認定を受け、140万円以下の民事事件について代理権を持ちます。
本記事は令和8年6月時点の情報をもとに、当事務所所属の司法書士が確認のうえ作成しています。手数料の具体的な金額は請求額などによって異なります。
最終更新日:令和8年6月26日